Wataru Hatano |Solo Exhibition

共鳴するかたち − Resonating Forms.
2025.6.27 ____ 7.12.

ATELIERMO〈アトリエ・エムオー〉では、2025年6月27日(金)から7月12日(土)までの期間、ハタノワタル氏による企画展「共鳴するかたち − Resonating Forms.」を開催。本展では、ハタノ氏が長年にわたり制作を続けてきた「積み重なったもの」シリーズの新作を、ATELIERMOの空間に配されたモダン家具とともにご紹介いたしました。

「積み重なったもの」は、自ら育てた楮を漉いた和紙や土、顔料などの素材を用い、制作を重ねながら少しずつ表現を変化させてきたシリーズです。

ハタノ氏が20代半ば頃から取り組んできたこのシリーズは、黒を基調とした作品から始まったといいます。

その黒は、単なる色彩ではなく、自然の中に潜む深さや複雑さを内包する「闇」を表しています。そこには、誰かに見守られているような安心感と、見えない存在に対するかすかな怖れが共存し、見る人それぞれの記憶や想像を静かに呼び覚まします。

一方、白を基調とした作品には、時間の移ろいが映し出されています。昼間の空間に静かなノイズのように溶け込みながら、光や周囲の環境によって、ふとした瞬間にその存在が気配として立ち上がります。黒と白、それぞれの表現に共通するのは、目には見えない自然の気配や、時間の流れを捉えようとするハタノ氏の眼差しです。

本展では、こうした精神性を内包する作品と、異なる時代や背景を持つモダン家具を同じ空間に配置することで、アートと家具の関係性を探りました。

家具が道具として暮らしを支える一方、ハタノ氏の作品は空間に奥行きや揺らぎをもたらします。異なる役割を持ちながらも、「手でつくること」「素材への眼差し」「空間との対話」という共通する思想が、ひとつの空間の中で静かに重なり合いました。


ATELIERMOでは、アートを生活空間の延長線上に位置づけ、「使う」ことと「観る」ことの境界を曖昧にしながら、新しい美のあり方を提案してきました。
本展もまた、作品と家具が互いの存在を引き立て合うことで、暮らしの中におけるアートの役割や、その可能性を改めて見つめる機会となりました。

素材が持つ気配や、光と闇、時間の移ろい。そして、作品と家具が共鳴することで生まれる空間の表情。

本展を通して、日々の暮らしの中で見過ごしてしまいがちな感覚に目を向け、アートとともに過ごす時間の豊かさを感じていただけましたこと、心より御礼申し上げます。

ハタノ ワタル | Wataru Hatano


1995年、多摩美術大学絵画科油画専攻卒業。 2000年、黒谷和紙漉き師として独立し、2007年、京もの認定工芸士に認定。原料である楮を育て、プロダクトからアート作品、空間のデザイン施工までをも手掛ける工房の主宰。自身の立ち位置を過去から続くものを未来に繋げる人と意識し、伝統工芸の和紙文化を未来へ継承する活動をする。

⁡ 今回の「積み重なったもの」シリーズは、人の意識として未来へ残したい過去から伝わった大切なものというコンセプトで制作し、作品を空間に配置することでビジュアル的な美しさだけでなく、日本人の根源に触れる空間を生み出す。

Graduated from Tama Art University in 1995 with a degree in Oil Painting. In 2000, Hatano established himself as an independent Kurotani washi papermaker and was officially certified as a Kyoto Traditional Craftsman in 2007.

He runs a studio where he oversees every stage of production, from cultivating kozo (paper mulberry), the raw material used in washi, to creating functional objects, artworks, and designing and constructing spaces. Viewing his role as a bridge between the past and the future, Hatano is dedicated to preserving and passing on the traditional Japanese craft of washi papermaking to future generations.

His Accumulated Things series explores the idea of preserving and passing down the values and cultural heritage inherited from the past. By incorporating these works into architectural spaces, Hatano seeks to create environments that offer not only visual beauty but also a deeper connection to the cultural roots of Japanese identity.