Sakai Michikazu | Solo Exhibition

茶の時間をかたちづくる器
2026.7.24 ____ 8.1.

ATELIERMO〈アトリエ・エムオー〉では、2026年7月24日(金)から8月1日(土)までの期間、陶芸家 境道一氏による個展「茶の時間をかたちづくる器」を開催いたしました。

本展では、中国茶の時間を彩る茶器を中心に、織部の皿や花器、粉引の作品など、約400点の新作をご紹介いたしました。

10年ほど前より中国茶器の制作を始めた境氏。小さな器をつくること、そしてお茶を楽しむ時間そのものを愛しながら、その時々でかたちや釉薬を変え、一点一点制作を続けてきました。
境氏にとって、茶器に決まったかたちはありません。その時々に自身が心地よいと感じる造形や素材を探りながら、自由な発想で茶の道具を生み出しています。

本展では、耐火土瓶や茶壺、茶杯をはじめ、織部釉のポットやカップ、小皿、茶托など、多彩な茶器が並びました。

粉引のやわらかな白、木灰釉が生み出す穏やかな景色、そして織部釉の深く瑞々しい緑。同じお茶の道具でありながら、土や釉薬、焼成の違いによって、一つひとつに異なる表情が生まれています。


また、今回の個展にあたり、ATELIERMOから境氏へ花入れや壺、ピッチャーなどの制作をリクエストし、境氏ならではの自由な解釈による新作も発表されました。

そのひとつである《ミモザ木灰釉の壺》は、やわらかな白の中に、土や灰がつくり出す繊細な表情が浮かび上がる作品です。花を生ける器としてだけでなく、そのまま空間に置くことで、ひとつの景色を生み出すような佇まいを持っています。
一方、粉引の花入れには、どこか古来の土器を思わせるおおらかな造形が見られます。やわらかな白の奥に土や炎の痕跡を残しながら、繊細な仕事と大胆なフォルムが共存するその姿には、境氏のものづくりの魅力が表れています。

会期中、境氏が在廊した二日間には、展示空間にどこか制作の気配が漂い、アトリエと展示空間の境界が少し曖昧になるような時間が流れていました。

異なる素材や釉薬、造形を持つ器が、家具や空間と響き合いながら、自然とひとつの景色をつくり出す。その風景もまた、本展を特徴づける大切な要素となりました。

「今日はこの器でお茶を飲みたい」。

その日の気分や過ごす時間に合わせて器を選び、お茶を淹れ、ゆっくりと味わう。境氏の作品には、そんな日々の何気ない時間を豊かにする自由さと、使う人それぞれの暮らしに寄り添うおおらかさがあります。

本展は、境氏の多彩な作品を通して、器を選ぶ楽しさや、茶の時間をかたちづくる道具の豊かさに改めて目を向ける機会となりました。



境 道一 | MICHIKAZU SAKAI

1975年、長野県須坂市生まれの陶芸家。備前焼作家・正宗悟氏に師事し、1997年に長野県須坂市に穴窯を築き作陶を開始。2015年に香川県へ拠点を移し、現在も同地で制作を続けています。

⁡ 焼き締め、粉引、織部、鉄釉、灰釉など多彩な表現を特徴とし、特に織部釉による深い緑と黒が交差する独特の色調が魅力。薪窯を用いた焼成にこだわり、日常使いの器としての機能美と、手仕事ならではの温もりを兼ね備えた作品は、陶芸の枠を超え、暮らしの中で生きるアートとしての魅力を持ち合わせます。

Michikazu Sakai (b. 1975, Nagano, Japan) is a ceramic artist based in Kagawa.
Working with wood firing, Kohiki, Oribe, iron glaze, and ash glaze, he creates vessels that combine functional beauty with the warmth of handcraft, bringing a quiet presence to everyday life.